スーフィズム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イスラム教 |
教義と信仰 |
アッラーフ · イスラーム 六信 · 五行 タウヒード · ジハード モスク · マドラサ カアバ · ハッジ |
指導者 |
ムハンマド ハディージャ · アーイシャ アブー=バクル ウマル · ウスマーン アリー · ファーティマ 預言者 · カリフ イマーム · ウラマー スルタン |
法と規範 |
クルアーン · シャリーア スンナ · ハディース |
金融・経済・財政 |
イスラム経済 ジズヤ ハラージュ |
歴史的転換と潮流 |
ウンマ · ハワーリジュ派 スンナ派 · シーア派 スーフィズム ワッハーブ運動 イスラム主義 |
秀逸な記事 |
イスラム銀行 オスマン帝国 ムハンマド・アリー |
良質な記事 |
イスラームにおけるイーサー イスラーム建築 モリスコ ムハンマド・アリー・ジンナー |
ポータル・イスラーム |
目次[非表示] |
概要 [編集]
9世紀から10世紀頃、官僚化したウラマーたちの手によってイスラーム諸学が厳密に体系化され始めた頃、イスラームが日常生活から遊離したことの反発から成立した。形式化したシャリーアを批判し、内面性を重視したスーフィー達は、しばしばウラマーたちの批判の的になった。しかしイスラーム哲学の大家でスーフィーであったガザーリーらの影響により、スーフィズムはイスラム世界において定位置を得るようになる。スーフィズムはその後イスラームの大きな潮流となり、特にインド・東南アジアのイスラム化において大きな役割を果たした。スーフィズムでは禁欲的で厳しい修行を行い、また白い布状の服を身につけて一心不乱に回る、回旋舞踊と呼ばれるものを行ない、神との一体化を求め た。スーフィーは導師の指導の下、決められた修行(マカーマート)を段階的にこなし、準備を進める。最終段階では、雑念を捨て去り一心に神の事をのみ考 え、神と合一したという悟りが訪れるのを待つ。この境地に至った者は、時として聖者に認められ、崇拝の対象となった。この境地をファナー(融合)、バ カー(持続)と言う。
今でもジャラール・ウッディーン・ルーミーが創始したメヴレヴィー教団などがこのスーフィズムを信仰している。しかしトルコ政府はメウレヴィー教団の活動を禁止している。開祖の教えに戻れと主張するイスラーム原理主義の勢いで、異端的な要素(ギリシャ哲学やヒンドゥー教等)の有るスーフィズムは影を潜めている地域もある。一方で、近代市民社会を作り上げるための寛容なイスラーム・リベラルなイスラームの思想の源流として注目されても居る。
神秘階梯 [編集]
- 懺悔または回心
- 律法遵守
- 隠遁
- 清貧と禁欲
- 心との戦い
- 神への絶対的信頼(タワックル)
- 融合(ファナー)
- 持続(バカー)
- →聖者
関連文献 [編集]
- 赤堀雅幸・東長靖・堀川徹編 『イスラームの神秘主義と聖者信仰』 東京大学出版会〈イスラーム地域研究叢書〉7、2005年。
- 中村廣治郎 『イスラムの宗教思想 ガザーリーとその周辺』 岩波書店、2002年。
- 中村廣治郎 『ガザーリーの祈祷論 イスラム神秘主義における修行』 大明堂、1982年。
- 井筒俊彦 『イスラーム思想史 神学・神秘主義・哲学』 中公文庫、1991年、2001年。(初版は岩波書店、1982年)
- 『井筒俊彦著作集』(全12巻 中央公論社、1992年 - 1993年)にも所収。
- ファリード・ゥッディーン・ムハンマド・アッタール 『イスラーム神秘主義聖者列伝』 藤井守男訳、国書刊行会、1998年。(立花隆が推薦)
- イドリース・シャー 『スーフィー 西欧と極東にかくされたイスラームの神秘』 久松重光訳、国書刊行会、2000年。
- ガザーリー 『誤りから救うもの』 中村廣治郎訳、ちくま学芸文庫、2003年。
- R.A.ニコルソン 『イスラムの神秘主義 スーフィズム入門』 中村廣治郎訳・解説、平凡社ライブラリー、1996年。(初版は東京新聞出版局〈オリエント選書〉3、1980年)
- R.A.ニコルソン 『イスラーム神秘主義におけるペルソナの理念』 中村潔訳、人文書院、1981年
- ラレ・バフティヤル 『スーフィー イスラムの神秘階梯』 竹下政孝訳、平凡社〈イメージの博物誌〉16、1982年。
- シャイフ・ハーレド・ベントゥネス 『スーフィズム イスラムの心』 中村廣治郎訳、岩波書店、2007年。
- オリヴァー・リーマン 『イスラム哲学への扉』 中村廣治郎訳、筑摩書房、1988年、ちくま学芸文庫 2002年。
関連項目 [編集]
- カッワーリー - 伴奏音楽
- ヌスラト・ファテー・アリー・ハーン - 演奏者
0 件のコメント:
コメントを投稿